ここに1冊の本があります。
「玄界灘 馬渡島の生物」(馬渡島生物研究グープ 佐賀野鳥の会 昭和47年1月30日発行)
「いつかしら、赤土と牛糞と潮の香をうつした登山ぐつが船でいっしょになった。話に花が咲いた。それが呼子に着いたとき、ひとつに束ねられた。そして、この本が生まれた。好きなものが好きなことを行った報告である。」と書いておられるように、職場も調査対象も異なる4人の研究者が自然発生的に集まって、研究成果を出版した本です。
馬渡島は『見知らぬ研究者をもいつの間にか結びつけてしまう』、『人間関係をも変えてしまう』不思議で神秘的なものを持っている島です。島を訪れた人をそんな気持ちにさせてしまう島です。
「福田氏は島の学校に勤めながら、更に唐津へ居を移して後も暇を見つけて隈なく歩きまわった。多久島氏は、夏休みを利用して生物部員と共に島の海岸線をしらべてまわった。倉成氏、生島氏は多忙な職にありながら土曜夕方から日曜にかけて島に渡り、サワや岩場にも足を運んだ」(あとがき 佐賀東高校 元小城高校 江島龍也)」というように地道な地元の研究者の皆さんの研究成果がまとめられています。
それぞれの分野は次ようになっています。
●馬渡島の野鳥・・・・・・・・・・・・福田 司
●馬渡島海岸の無セキツイ動物概要・・・多久島勇
●馬渡島の高等動物・・・・・・・・・・倉成靖任
●馬渡島のコケ植物・・・・・・・・・・生島七郎
以下は「馬渡島の野鳥・・・・福田 司」 から抜粋・転記しています。
◆馬渡島の野鳥の特色
・観測される野鳥の種類が多く、特に冬鳥と夏鳥の交替時期の4月5月には、30種を超える野鳥の生態の観察が簡単にできる。
・ブッポウソウ、エゾムシクイ、エゾビタキ、サメビタキ、コサメビタキの稀な鳥も観察された。
・馬渡島は渡り鳥のコース上にあると思われる。番所の辻の山が渡りをする時の目印になっていると考えられる。
・通過鳥が多く留鳥が少ない。
◆馬渡島を代表する野鳥
◆馬渡島での珍鳥記録
◆馬渡島での探鳥
「馬渡島での探鳥は比較的楽であり、種類も多く、本県でも10指にはいるほどの探鳥地でもある。しかし、季節性も強いので、その時機を失するとみじめな結果に終わってしまう」
(1)日帰りコース
a. 宮ノ本 → 田尻の森 → 教会 → トンコ山 → 立石 → 宮ノ本
b.宮ノ本 → 河内谷 → 冬牧牧場跡 → 黒森 → 水源地付近 → 宮ノ本
(2)1泊2日コース
宮ノ本 → 田尻の森 → 聖母園 → 教会 → ニタ松 → セキソ → 大山 →
番所の辻 → 冬牧牧場跡 → 平瀬斜面 → 河内谷 → 宮ノ本
◆探鳥の時期
「3月から5月が中旬までがよい。その理由は、冬鳥と夏鳥の交替時期であるため、種類が多いことと天気が良く海が荒れないためである。それにキジの繁殖期にひっかかっているので観察の機会が多いからである。」